ロベルトの半生~嘘つき小僧がバカ正直な大人になるまで~5
「友達なんていらない!」
思わず出た嘘一つ。
このたった一つの嘘によって小学生にして完全にクラスから孤立してしまったロベルト少年。
誰からも信用されず、友達も失くし、ここから卒業するまでの思い出には何も楽しい出来事に彩られる事の無い灰色の風景のみが続きました。
そんな目に遭って反省したつもりだったくせに中学生になっても何も考え方を改められていないロベルト少年。
ていうかそんな大嘘ついた記憶さえも当時は忘れていました。
ということで狼少年の中学校生活です。
まあ相も変わらずどこぞへ行ったらタレントの誰かを見たとか、新しいクラスメイト達に実は俺超喧嘩強いんだぜとか、息を吐くように嘘を吐いていたのですよ。
こんな思春期に差し掛かった頃、私にある変化が起こりました。
嘘をつけばバチは必ず当たるものだと思うんですが、そのバチが当たるペースが早くなってきたんです。
どんなバチかというと、
同じ学校に通う一つ上の兄にボコボコにされる。
めっちゃボコボコにされる。
中学生になって本格的な部活動が始まることによって違う学年同士の交流が増えますからね。
「お前の弟君こんなこと言ってたけどホント?」
なんて兄の耳に届いたら授業の合間の休み時間にすっ飛んで来ます。
そして同級生達の目の前で見るも無惨な姿にされる。
先生が走って来て兄を止める。
これが日常でしたね。
何であの頃そんな事されても嘘をつき続けてたんでしょうねえ。
流石にしょっちゅう殴られてると辛いものがあるのでここでもやはり逃げるのですが中学生になると逃げるスケールも大きくなってなんと家出までするようになりました。
少ない小銭で駄菓子を買って公園の水道水を飲んで凌ぐ。
それはまた別の話ですね。
とにかく弟の愚行にいち早く気づき天罰(物理)を下す兄は家では引くほど優しかったのです。
実はこの頃私一家離散してしまいまして。
一つ上の兄と親父との三人で暮らしていたんですけども、
晩飯は兄が毎日作ってくれてたまの休みにはジュースでも飲みなと小銭を渡してくれる。
私は兄のこのギャップは何だと思っていましたがそれが理解できたのは大人になってから。
どれだけ優しい人間でも嘘は厳しく叱る。
当たり前の事。
嘘をつきさえしなければ俺は優しいのだぞということを伝えたかったはずの兄の意図には当時全く気づいてませんでしたね。
お馬鹿だったので。
さて、そんなお馬鹿のロベルト君も中学生になり徐々に大人の階段を登っていきます。
その階段の途中で人生の大きな転機として親父の元から母の元へ兄と二人で引っ越し、そして転校を経験する事になるのです。
その時私は中学三年生。兄は高校一年生。
母の元には私が小学生の頃に生まれた年の離れた弟もいます。
元々関東に住んでいた私が引っ越した先は関西地方。
そこでぶち当たる厚い方言の壁、高校受験、初めてのアルバイト、初めての彼女、思春期特有の様々な初体験によって、
嘘つき少年ロベルトの物語は加速していくのです。
ではまた。